本研究グループは、失っている歯の数と動脈硬化の程度が関連しているかを調査しました。具体的には、「ながはま0次予防コホート事業」の第一期調査において、参加者全員の歯科検診で確認した歯を失った数から、矯正治療や外傷などにより失われた歯の数を除き、歯周病などの口の中の持続的な炎症で失った歯の数を指標としました。また動脈硬化についてはCardio-Ankle Vascular Index(CAVI)を使って測定しました。失った歯の数とCAVIの関係を年齢、性別、Body Mass Index(BMI)、喫煙の既往、ヘモグロビンA1c、インスリンまたは糖尿病治療薬使用の有無を調整して解析しました。その結果、失った歯の数と動脈硬化度に有意な関連があることが分かりました。また、女性に比べると男性でその傾向が強いことも明らかになりました。歯周病など口の中の病気は、予防効果が非常に高いことで知られており、歯科医院での定期的なメンテナンスや歯の清掃指導などで失う歯の数を減らすことができます。口の中の病気の予防や治療は、口の中の状態を改善させるだけでなく、動脈硬化症を予防するためにもよい影響がある可能性が考えられます。