毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加しており、隔週で症例検討会と論文抄読会をしています。このため金曜の診療は18:00までとさせていただいております。2014 / 7 / 18 は論文抄読会でテーマは「チタン−ジルコニア合金インプラントと純チタンインプラントの比較」でした(文献)。
歯科インプラントの埋入部位は、以前に存在した歯が歯周病に罹患していたり破折していた場合、大きく骨吸収していることがしばしばあります。骨幅が減少している場合には、①骨誘導再生療法(GBR)を行い骨幅を増やして、通常の太さのインプラントを埋入する ②骨幅はそのままで、細いインプラントを埋入する という選択肢があります。細いインプラントを選択した場合、インプラントの強度不足による破折が問題になります。こういった問題を解決するため、従来の純チタンインプラントよりも強度の高いチタン−ジルコニア合金インプラントが開発されました。
画像:Benicら 2013
今回の文献は3.3mmの太さのチタン−ジルコニア合金インプラント20本と4.1mmの純チタンインプラント20本の1年間の経過の比較をした研究でした。結果はインプラント周囲の骨吸収、臨床所見などに差はありませんでした。
チタン−ジルコニア合金インプラントついて気になるのは ①純チタンインプラントと同様に骨と結合するのか? ②細いインプラントでも十分な強度があるのか? の2点です。①については、初期の骨結合は良好のようです。②について、インプラントの破折が起こるのは埋入から数年経ってからのことが多いので、1年間の結果だけでは強度について十分な根拠とは言えません。今後、長期の経過観察の結果を期待したいと思います。
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カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会 日時:2014年7月23日