毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加しており、隔週で症例検討会と論文抄読会をしています。このため金曜の診療は18:00までとさせていただいております。2013 / 10 / 4 は論文抄読会でテーマは「歯周病のメインテナンスとインプラント周囲炎の関係」でした(文献1・文献2)。
歯を失った部位にもう一度歯を取り戻す歯科インプラント(人工歯根)は、虫歯にはなりませんが歯周病になることがあります。このインプラントの歯周病のことをインプラント周囲炎と言います。
文献1は歯周病とインプラント周囲炎の関係を調べるため
①歯周病のない患者グループ
②過去に歯周病で治療を受け6mm以上の歯周ポケットがない患者グループ
③過去に歯周病で治療を受けたが6mm以上の歯周ポケットがある患者グループ の、
5年以上経過観察した合計117本のインプラントの状態を調べた研究でした。その結果、6mm以上の歯周ポケットがある③は①・②に比べインプラント周囲のポケットが深く、周囲骨の吸収も大きいということがわかりました。また②は過去に歯周病であったにも関わらず、①の歯周病のないグループのインプラントと同様に健康でした。つまり、インプラント周囲炎のリスクになるのは「過去に歯周病であったかどうか」ではなく「歯周病のメインテナンスができているかどうか」です。歯周病の既往のある患者さんのインプラント治療においては、効果的な歯周病治療とメインテナンスが重要であると言えます。
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カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会, ・インプラント周囲炎 日時:2013年10月7日