歯周病患者の残存歯の歯周ポケット内の細菌の構成と、インプラント周囲のポケット内の細菌の構成は非常に似ていることが確認されています。
これは、残存歯周囲の細菌がインプラント周囲に移り住んでいる可能性を示唆しています。
Papaioannou et al. 1996 らは6人の歯周病患者の天然歯とインプラント周囲からプラーク(歯垢)のサンプルを採取し、細菌の構成を調べました。
その結果、天然歯とインプラント周囲の細菌の構成に著しい類似を確認しました。
このことから彼らは、天然歯周囲のポケットはインプラント周囲細菌の供給源であると考え、インプラント治療を行う場合には天然歯の歯周病の改善が重要であると結論付けました。
De Boever et al. 2006 は、重度歯周病の治療を受けた患者22人に68本のインプラントを埋入し、その周囲ポケット内の細菌の構成の変化を調べました。
その結果、インプラント周囲では埋入後ただちに天然歯周囲と構成の類似した細菌のコロニーが形成されました。
しかし、この細菌の構成は6ヶ月の観察期間中はぼ変化せず、インプラント周囲に歯周病(インプラント周囲炎)を引き起こすこともありませんでした。
著者らは、歯周病患者にインプラントを埋入した場合、インプラント周囲に歯周病菌が繁殖することは避けられないが、徹底したプラークコントロール(口腔清掃)によりインプラントを健康に保つことができたと結論付けています。
カテゴリー:★【インプラント】, ★【歯周病】, ・歯周病とインプラント 日時:2010年11月26日