毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加しており、隔週で症例検討会と論文抄読会をしています。このため金曜の診療は18:00までとさせていただいております。2016 / 10 / 7 は論文抄読会でテーマは「 歯周病とED(勃起不全) 」でした(文献1・文献2)。
文献1はトルコの大学の研究で、比較的若い30-40歳のED患者80人とEDでない82人の男性について歯周病の検査をしました。その結果、非EDグループの19人(23%)が歯周病であったのに対し、EDグループでは42人(53%)が歯周病でした。交絡因子(年齢、BMI、世帯収入、学歴)を調整し分析したところ、歯周病患者は健康な者よりも3.29倍(オッズ比)EDである可能性が高いことがわかりました。
文献2は台湾の国民健康調査のデータを分析し、5,105人のED患者とEDでない10,210人の男性について歯周病の状態を比較しました。すると、EDグループでは1196人 (23.13%) 非EDグループでは1121人 (13.92%) が歯周病でした。交絡因子を調整し分析したところ、歯周病患者は健康な人と比べて1.79倍(オッズ比)EDである可能性が高いことがわかりました。
画像:8020推進財団 「からだの健康は歯と歯ぐきから」より
両研究とも歯周病患者にEDが多い理由として、歯周病原菌またはその産生物、または歯周病の炎症が血管内皮機能不全を引き起こし、EDにつながるのではないかと推測しています。
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カテゴリー:★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会, ・歯周病と全身疾患 日時:2016年10月11日