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Dr.篠田のブログ

骨移植をした部位のインプラントの 12-14 年後は?

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 毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加しており、隔週で症例検討会と論文抄読会をしています。このため金曜の診療は18:00までとさせていただいております。2016 / 6 / 3 は論文抄読会でテーマは「骨移植をした部位のインプラントの長期経過でした文献)。

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画像:Geistlich Pharma HP より引用改変

 歯を失った部位にインプラントを埋入するための骨が足りない場合、骨移植材と再生膜を用いて骨誘導再生療法(GBR法)が行われることがあります。この再生療法により作られた骨は、長期にわたり安定しているのでしょうか?

 今回の文献は、インプラント埋入と同時に骨誘導再生療法(GBR法)を行った部位の12-14 年後の経過を調べた研究でした。この研究に用いられた再生膜は生体に吸収されるものと吸収されないものの2種類で、それらの比較も行っています。

 72人の患者さんに265本のインプラントを埋入、その内112本は吸収性膜、41本は非吸収性膜を用いました。また112本のインプラントは対照群として、骨が十分にある部位に再生療法なしで埋入されました。

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画像:Jung RE et al. (2013) より引用改変

 12-14 年後のインプラントの生存率は、対照群(骨が十分、再生療法なし):94.6%、吸収性膜による再生療法群:91.9%、非吸収性膜による再生療法群:92.6%で、この値に統計学的な差はありませんでした。

 また、インプラント周囲骨は健康なものでも経年的に少しずつ吸収しますが、その骨吸収量も対照群:2.36 mm、吸収性膜:2.4 mm、非吸収性膜:2.53 mm で、この値にも統計学的な差はありませんでした。

 以上から、インプラント埋入と同時に行う骨誘導再生療法(GBR法)は生存率が高く、安全で予知性の高い治療法であるという結論でした。

 当院でもインプラント埋入と同時に骨誘導再生療法を行うことが多いですが、153本という多数のインプラントの長期経過は大変参考になりました。


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カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会, ・骨誘導再生療法(GBR)  日時:2016年6月6日

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