中野区歯科医師会では学術委員会に所属して、学術講演会の企画や準備の仕事をしています。2017 / 5 / 23 は鶴見大学歯学部歯周病学講座教授の五味一博先生をお招きして、「歯周薬物療法の基礎と臨床 日常臨床への応用について」というテーマでご講演いただきました。
五味先生は、ベルギー・カトリック大学のQuirynenらが提唱した、機械的プラークコントロールと薬物療法を併用した「Full Mouth Disinfection(FMD)」を改良した治療法で、目覚ましい効果をあげているとのことでした。
具体的には、中等度から重度歯周炎患者の歯周基本治療において、アジスロマイシンを術前に投与して短期間に全顎の歯石除去を行うという治療法だとのことでした。
アジスロマイシンは、
① 薬剤の半減期が長く1週間以上の効果が見込まれる
② 食細胞にアジスロマイシンが取り込まれ、炎症部位に集積するファゴサイトデリバリー効果などの特性が歯周ポケット内のインフェクションコントロールには有効に働く
③ 歯周ポケットの減少を引き起こす効果がある
④ バイオフィルム破壊作用と形成抑制作用がある
などの特徴があり、他の抗菌薬ではアジスロマイシンと同等の効果は得られないとのことでした。
講演ではこの治療を行った多くの症例が提示され、特に歯周外科のできない重度の歯周炎症例において、短期間に劇的な改善と長期の安定が得られたとのことでした。是非、自身の診療所でも試してみたいと思いました。
【関連記事】