歯周外科治療
今回ご紹介するのは通常の歯石取り(基本治療)の後も、歯ぐきの腫れと出血を繰り返した奥歯に歯周外科手術を行った症例です。
歯周外科とは
SRP後の歯石の除去率( Fleischer ら、 1989 ) (横軸はポケット深さ)
Fleischer
ら(1989)によると、歯根が 2 本以上ある歯(複根歯)の歯石除去(SRP)後、 4 - 6 mmの歯周ポケット内で除去できている歯石は、10 年以上の経験のある歯周病専門医でも27 %、一般開業医では8%にすぎないとのことです。
つまり深い歯周ポケットでは、歯石除去後も大半の歯石が残っています。歯石除去後も炎症の続く部位において、歯肉を切開し、歯根面の歯石を直接目で見て確認し、これを確実に除去するための手術が歯周外科です。
歯周病の手術には「歯石を取り除くのみ」の通常の歯周外科と「歯石を取り除き、組織再生を促す」歯周再生療法があります。これらの手術の違いはおおまかに言えば以下の2点です。
①歯周再生療法はうまく行った場合と、そうでない場合で結果にばらつきがある。
②通常の歯周外科と歯周再生療法で結果(付着の獲得)の差は平均すると1mm程である。
以上の点を患者さんにご説明したところ、通常の歯周外科を行うことになりました。
歯ぐきを切開して歯根面を確認したところ、根面のくぼみに歯石の取り残しがありました。
歯石を除去して歯ぐきを縫合しました。
手術後は歯ぐきの腫れや出血がなくなりました。治療前と5年後のレントゲン写真との比較では、大きな骨欠損が縮小しています。
カテゴリー:★【歯周病】, ・歯周外科, 歯周病症例 日時:2015年9月28日