毎月第一水曜日(時々変更があります)はスタディーグループ救歯会の例会に参加しております。月1回、分野を限らず包括的な歯科医療の症例検討会をしています。当日の診療は4:30までとなりますので、患者様にはご迷惑をおかけいたします。
2013 / 4 / 3 は以下のテーマで3人の演者が発表しました。
1) 前後的すれちがいに向わせない治療が適ったかー25年の変遷から考察
2) 義歯補綴で対応したすれ違い一歩手前
3) 矯正治療を行った慢性歯周炎患者の 9 年間メンテナンス
1) の「前後的すれちがいに向わせない治療が適ったかー25年の変遷から考察」は、目黒区でご開業の松島先生の発表でした。今回の症例は図のように上顎前歯の欠損が多く、臼歯のかみ合わせも4ヶ所しか残っていない非常に厳しい状態でした。上顎を固定式のブリッジで補綴後25年の長期経過中、下顎の臼歯部で歯根破折が起こりました。今回の症例のように口腔内の衛生状態が良く管理され歯周病、虫歯が進行しなくなった症例の長期経過では、歯根破折が問題になることがあります。
「もしも下顎の最後方にインプラントを埋入していたら歯が割れるのを防ぐことが出来ただろうか。」ということが議論されました。救歯会では昨年、会員の吉野先生が中心になり会員の症例からデータを集めて、インプラント周囲の天然歯の生存率の調査を行なっています。それによると、下顎のインプラントの前方の隣接天然歯は歯根破折で喪失することが多かったという結果が出ました。これはインプラントが埋入されるまでの一定期間、歯牙欠損部の前方で咬み合わせを支えていた歯にすでにヒビが入っていて、インプラント埋入後にひび割れが広がって抜歯に至った可能性も考えられます。歯を喪失した部位にインプラントを埋入することにより、咬み合わせを支えより良く咬むことができるようになりますが、インプラントが周囲の天然歯に与える影響は今後注意深く検証していく必要がありそうです。
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カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・救歯会 日時:2013年4月5日