中野区歯科医師会では学術部に所属して、学術講演会の企画や準備の仕事をしています。2012 / 11 / 14 は鶴見大学歯学部臨床教授の坪田有史先生ををお招きして、「現在の支台築造の考え方ー支台築造のガイドラインとファイバーコア」というテーマでご講演いただきました。
さし歯の土台となる歯(支台歯)の背が低くなっている場合、ポストアンドコア(省略してコア)という方法で支台歯を築造します。ところが従来の金属製のコアの場合には材質が硬すぎてコアがくさびのように働き、歯根破折のリスクが高くなるという欠点がありました。そこで現在では、歯と硬さが同じくらいのグラスファイバーのコアを歯に接着して用いることにより歯根破折のリスクを小さくする取り組みがなされています。またオールセラミッククラウンなどの金属を使わない修復の場合にもファイバーコアが用いられ、審美性の向上や金属アレルギー対策に役だっています。
坪田先生は長く鶴見大学に在籍され、接着やコアに関する多くの実験・研究をされており、臨床例も豊富にお持ちでした。ご講演では10年以上の経過の症例を多数紹介されながら、ファイバーコアの利点や実際の処置手順について非常にわかりやすくご説明いただきました。近年、審美性の向上や金属アレルギー対策のためにメタルフリー修復が注目されているため、ファイバーコアは大きく普及していくものと思われます。
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