以前に、「私の所属しているスタディーグループ救歯会の会員から集めた自家歯牙移植のデータが論文としてまとめられ、Journal of Oral Rehabilitationに掲載されました。」という記事を書かせていただきました。救歯会会員の吉野浩一先生が会員からアンケートをとって、1990年から2010年に行われた614本の自家歯牙移植について分析されたものです。この調査からの第3報目がJournal of Oral Rehabilitationに掲載されました。
吉野ら 2012 より
今回の文献は、歯根が複数ある上顎の大臼歯をそのまま移植した場合と、歯根を分割して移植した場合の生存率の比較をしたものでした。歯根が複数ある歯は抜歯する時に表面の歯根膜が傷つきやすく移植には向かないと考えられています。このため、移植時に歯根を分割して単根にすることにより、生存率が改善するかを分析しました。歯根分割した35本の歯と分割していない22本を比較したところ、歯牙移植10年後の生存率はそれぞれ77·1%と63·6% でした。複根歯を分割移植した方が生存率は高くなっていますが、統計学的な有意差はありませんでした。
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カテゴリー:★【学会・スタディーグループ】, ★【書籍】, ・救歯会 日時:2012年9月13日