毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加させていただいています。隔週で症例検討会と論文抄読会をしております。2012/4/20は論文抄読会でテーマは「サイナスリフト」でした。
上顎の奥歯の上方には上顎洞(サイナス)と呼ばれる空洞があり、骨の厚みを制限しています。歯を失った部分の骨量が不足してインプラントが埋入できない場合には、上顎洞に骨移植(サイナスリフト)をして骨量を増やすことができます。
今回の文献はサイナスリフトを行なってから埋入をした201本のインプラントと、十分な骨量がありサイナスリフトを行わず埋入した192本のインプラントを最高6年間経過観察し、生存率を比較した研究でした。結果はサイナスリフトを行ったグループの累積生存率が86.1%、サイナスリフトを行わなかったグループが96.4%と大きな差が出ました。この生存率は過去の文献や自身の臨床実感と比べて低く感じました。
2003年のアメリカ歯周病学会のリビューでは、サイナスリフト後のインプラントの生存率を報告した24の研究の平均の生存率は91.8%でしたが、61.7%から100%と研究により大きな差がありました。サイナスリフトは全体的に見ると成功率の高い治療法ですが、研究によりばらつきがあるのも事実なようです。
カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会, ・サイナスリフト 日時:2012年4月23日