毎週金曜日は、以前に私が勤務していた西堀歯科の勉強会 ISCT研修会に参加させていただいています。隔週で症例検討会と論文抄読会をしております。2012/7/20は論文抄読会でテーマは「上顎前歯の唇側の骨の厚さ-コーンビームCTを用いた研究」でした。
Braut ら 2011 より
上顎前歯を失うとその唇側の骨は非常に薄いため吸収して、歯ぐきが陥没することがあります。インプラント治療を行う場合にはこの歯ぐきの陥没のために起こる左右非対称を改善する必要がある場合があります。
今回の文献は、498本の上顎前歯の唇側の骨の厚さをCTスキャンを用いて測定した研究でした。結果は唇側骨の厚みが1mm以下の歯がおよそ90%ということでした。これら90%の歯では、インプラントの埋入と同時に陥没を修正するため骨移植等の処置が必要であるとの結論でした。
両隣りの歯が健康であれば歯ぐきの高さ(歯間乳頭)は維持されます。また、唇側の骨が吸収することを前提にインプラントを内側(口蓋側)に埋入すれば、多くの場合インプラントが骨からはみ出すことも防げます。このため実際に骨移植など追加の処置は多くの症例で必要ありませんが、抜歯部の骨の吸収により根元の歯ぐきに凹みができて左右非対称になる場合は、歯ぐきや骨の移植による審美性の改善が必要であると考えられます。いずれにせよ、インプラント治療の前にはCTスキャンで骨の状態を確認し、事前に歯ぐきや骨の移植をするかどうか決めておく必要があるようです。
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カテゴリー:★【インプラント】, ★【学会・スタディーグループ】, ・ISCT研修会 日時:2012年7月23日