歯周病と口臭
歯周病と口臭の関係に関して説明します。
口臭はどうして発生する?
口の中にいる嫌気性(酸素を嫌う)細菌は、新陳代謝ではがれた粘膜上皮、血球成分、死んだ細菌などのたんぱく質成分を分解して、揮発性硫黄化合物(VSC)をつくります。
VSC は硫黄ガスの総称で、主に硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類のガスからなります。
VSC は特有のにおいがありますが、口臭はこれらのガスが混合したものなので、非常に不快なにおいとなります。
誰にでもある生理的口臭
口臭は起床直後に最も高い値を示します。
夜間唾液の分泌が減り、細菌が増殖して口の中の汚れ成分を分解し、口臭の原因物質である VSC がたくさん作られるからです。
しかし、食事や歯みがきで口の中の細菌は減少し、刺激によって唾液量が増加すると口臭は弱くなります。
誰にでもこのような生理的口臭はみられますが、そのにおいの強さは口の中の細菌、汚れ成分、唾液量などにより異なります。
生理的口臭には図のように日内変動がありますが、ゼロになることはありません。
このように、健康な人でも口臭が一時的に強くなることがあります。
誰にでも生理的口臭はあるので、必要以上に神経質になることはありません。
治療が必要な病的口臭
口の中の病気、鼻やのどの病気、呼吸器系の病気、消化器系の病気などが口臭と関連していると考えられています。
しかし、病的口臭の90%以上は口の中の汚れや病気が原因で発生します。
口の中の原因としては、歯周病、舌に付着した多量の細菌(舌苔・ぜったい)、唾液分泌の減少、入れ歯の清掃不良、進行した虫歯などがあげられます。
口臭が気になったら、 まずは歯科医院に相談しましょう。
口臭発生の原因となる舌苔(ぜったい)
鏡に向かって舌を出してみると、白色や淡黄色の苔のようなものがついているのに気付いたことはありませんか?
これは舌苔といい、細菌や新陳代謝ではがれた粘膜上皮などからできています。
舌苔は嫌気性細菌により分解されると、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)を発生します。
うがいをするだけでは舌苔を取り除くことはできません。舌ブラシややわらかい歯ブラシで除去することが必要です。
舌の清掃方法
舌は歯と違って柔らかい組織なので、1日に何回も磨いたり、力を入れて強く磨くと味を感じる味蕾を傷つけてしまいます。
舌の奥の方を観察して、ていねいに磨きましょう。
舌苔が付いていない人は、舌を清掃する必要はありません。
舌苔の除去は、舌ブラシや柔らかい歯ブラシを使って行いましょう(硬い歯ブラシは舌を傷つけるおそれがあります)。
参考文献:8020推進財団「歯とお口の健康小冊子」