歯周病と全身疾患

歯周病は全身に支障をきたす可能性もあります。

口腔内には500種以上の細菌

私たちの口の中には500種以上の細菌が存在します。

歯ぐきの健康は全身とも関係しています。口の中の細菌が体の中に入り込むとさまざまな病気(心臓病、肺炎、糖尿病、早産等)を引き起こすことが知られてきています。

これらを防ぐためにも、まず口の中の衛生状態をよくすることが大切です。

歯周病と動脈硬化・心疾患のリスク

アメリカ歯周病学会(2003) によると、歯周病と動脈硬化・心疾患のリスクには関連があることが示唆されています。

医学論文のデータベース( MEDLINE, the Cochrane Controlled Trials Register など)から得られた31の研究の分析を行った結果、ほとんどの文献が歯周病と動脈硬化の関連を支持していました。

歯周病は、動脈硬化・心筋梗塞・心血管疾患と関連しているだろうと結論付けています。

歯周病と呼吸器疾患のリスク

肺炎の原因となる細菌は口の中にも住んでいます。高齢になるにしたがって飲み込みが悪くなり、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤って肺の中に入ることによって発症するのが 誤嚥性肺炎 です。

アメリカ歯周病学会(2003) では同様に、歯周病と呼吸器疾患のリスクの関係についても分析しています。

医学論文のデータベースから得られた21の研究を分析したところ、以下のような結果が得られました。

  1. 口腔衛生状態を改善する様々な処置により、入院患者の 肺炎が40%に減少 した
  2. いくつかの研究では歯周病と COPD と呼ばれる呼吸器疾患の関連性が示された

以上の結果から、口腔衛生不良と歯周病により起こる呼吸器疾患の原因菌の口腔内での繁殖は、入院患者の肺炎と関連しているようであると結論付けています。

歯周病と糖尿病

Taylor (2001) によると、歯周病と糖尿病には双方向の関係性があるそうです。

医学文献のデータベース( MEDLINE )から1960年以降の研究を分析し、以下の結果が得られました。

  1. ほとんどの研究において、健康な人に比べ糖尿病患者では歯周病の罹患率がより高く、歯周病がより進行していた。
  2. 歯周病による感染は、血糖値のコントロールにマイナスの影響を与えていた。しかし、歯周病の治療によりすべての研究で血糖値のコントロールが改善したわけではない。
  3. 2つの経過観察研究では、重症の歯周病と血糖値のコントロールの双方向の関連性が示された。

このように、糖尿病の患者さんは歯周病になりやすく、口腔内を衛生的にすることにより血糖値をコントロールしやすくなる可能性があるようです。

歯周病と早産 / 低体重児出産

Offenbacher (1996) の研究によると、妊婦の歯周病は早産 / 低体重児出産のリスクを7.5-7.9倍にします。

ノースキャロライナ大学病院で妊婦健診に定期的に通院中の妊婦、あるいは出産後3日以内の産婦を対象にボランティアを募り、124名を対象に調査が行われました。

歯周病は全出産において7.9倍(オッズ比)で早産・低体重児出産の有意なリスクとなり、初産においても7.5倍(オッズ比)で有意なリスクとなりました。

これらのデータは、歯周病は早期低体重児出産のリスクファクターの1つとなりうることを示しています。

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